自己愛性パーソナリティー障害
自己愛性パーソナリティー障害は過剰に理想化した自分を誇示するために周囲に傲慢に振舞ったり、攻撃的で自己中心的な態度でしばしば周囲の人間関係を振り回します。
しかし、自己愛性パーソナリティー障害の一般的なイメージとはかけ離れた
「過剰に周囲の目を気にするタイプ」の方も自己愛の障害を抱えているケースがあります。
・周囲の目は一切気にしないナルシストタイプ
・周囲の目を過剰に気にするナルシストタイプ
どちらも、根元には「脆弱な自己愛」が潜んでいます。
自己愛も自己像も脆いため、周囲から評価を得られない場合や丁重に扱われない時に
たやすく自尊心が崩れてしまうのです。
理想化した優れた自分となんの取柄もない自分
この間で揺れ動くのが自己愛性パーソナリティー障害の特徴です。
しかし、生粋の自己愛性パーソナリティー障害の方は実際にはそこまで多くない、と言われており
医師であっても見抜くことが困難です。
幼少期にトラウマ体験がある方も似たような症状に悩まされることがあるため、
トラウマや愛着障害由来なのか、自己愛性パーソナリティー障害なのかの判別が難しいのです。
そして、自己愛性パーソナリティー障害を治すには熟練した技術と器を持った医師やカウンセラーの力が不可欠となります。
優れた医師、カウンセラーは、境界線の淵に立ちながら(入りこみすぎず、遠すぎず)、クライアントの悲しみや攻撃性まで吸収し、分散します。
私もこれまで、「診断はついていないが恐らく自己愛性パーソナリティー障害」というクライアントに少人数ですが出会ったことがあります。
分厚い鎧が壊れた時、等身大の自分を手に入れ、自然体で周囲と衝突を起こすことなく
健全な人間関係を築けるようになった方もいますし、なかなか変容しない方もいました。
自己愛性パーソナリティー障害はインターネットで検索すれば
「治すことは難しい」「離れるしかない」などと書かれていることが多いのですが
治すことは出来る病です。
「本人が困っているかどうか」というのが重要で、
困り感があり何とかしたいという気持ちがあれば変わることは出来ます。
自分はもしかして自己愛性パーソナリティー障害では?と気づく方のほうが稀ですが
周囲と摩擦が大きく、自分に何か原因があるのではないか?という疑問さえ持てればあと一歩です。
カウンセリングで自分の非をあらいざらい話す事に恥ずかしさを持つのは自然な感情なのですが
前進するためにはまず誰かに打ち明けることが必要です。
病院、カウンセリングという機関を頼ることは何ら恥じることがない行動です。
一人で悩まず、誰か信頼できる方に相談してみましょう。
2024年01月16日 13:25