カウンセリングに行きたくないと思う理由②
前回は「初回カウンセリングに行くかどうか迷っている場合の心理」について書きました。今回は一回以上カウンセリングを受けた後に、カウンセリングに行きたくないと思う理由をお伝えします。
•カウンセラーが苦手、合わない
•カウンセラーが分かってくれないと感じる
•カウンセリングの方向性に疑問を持った
•課題をやりたくない(難しい)、面倒 •変化することへの抵抗(このままで居たいという働き)
•なかなか改善が見られない事からの焦り
•話をすることが疲れる
•過去や自分と向き合う事が怖い
•親や配偶者の反対にあっている
•疾病利得を妨害されていると感じる
よくある理由を書き出してみました。
カウンセラーとクライエントの関係性はあらゆる心理療法の基盤となるものです。
ここに安心感が無ければ、どんな心理療法を行なっても上手くいかなかったり、変化までに時間がかかります。
様々な対人関係の問題で、どちらか一方だけに100%非があるということは少ないのと同様、
カウンセラーの態度、言葉選び、目線、力不足、思い込みなどカウンセラー側の問題と
クライエントの妄想、思い込み、投影、転移、視野の狭さ、合理化などクライエント側の問題両方が関わっている可能性が高いです。
ここで、ひとつの例を少しフェイクを入れてご紹介します。
あるパーソナリティー障害の方が
「一度も会ったことがない、顔も知らない、マッチングアプリで出会った男性のことが大好き。
この人が交通事故に遭って顔面の原型が無くなっても一生愛していける自信がある!」と話していました。
(カウンセリングのお客様ではありません)
その方は通院している病院の医師にそのことを伝えると、
写真ですら顔も見た事が無い人を一生愛するなんて現実的ではない、というような返答が返ってきたそうです。
あの医者は私がおかしいと思っている!本当なのに、話を聞こうとしない!もう行きたくない!
あの医者は合わない!
としきりに不満を述べていました。
それを聞いていた周囲の人も「顔も見た事ないのに、どうしてそう言い切れるの?」「彼氏が一度も出来たことがないのにありえない」
「思っているのと全然違う顔かもしれないよ?」と話しましたが「本当にそうなの!!」と、聞く耳を持ちませんでした。
そこに、「その医者がおかしい」と同調する人が現れると「そうでしょ?!」と、一旦気持ちは落ち着いたようでした。
この話を客観的に分析すると、皆さんならどうお感じになりますか。
おそらく「現実的ではない」と思う方が大半でしょう。
生活上で実感を伴った感覚ではなく、とても抽象的で具体性に欠ける点、
経験値の少なさがゆえにデータがそもそもないために比較すらできないからです。
これは経験上の自信からくる「真の自信」ではなく「過信」「思い込み」といえます。
顔は関係がない、と言いきるためには
(事故に遭う前と遭った後)という
両方の顔の相手と接した時間、関係性の濃さ、一生愛するとはどういうことなのかという定義など
語るには筋が通っていません。
しかし、上記のパーソナリティー障害の方にとっては「そのように」感じているのは事実です。
人は自分の見たいように世界を見るからで、現実や事実をありのまま捉えることは出来ないからです。
仮に医師側に問題があるとしたら、
「あなたはそう感じているんだね。」と、気持ちを理解するという態度が欠けていたのかもしれません。
理解しよう、あなたの気持ちを同じように感じているよ、という態度がなければ関係性を築くことは難しく、
どんな言葉を伝えても、どんな心理療法を行っても効果が出ずらくなります。
クライエント側の問題点は、「もしかしたらそういう見方も出来るかもしれない」という柔軟な捉え方をしようとしない点、
「この人も母親のように、私のことは分かってくれないんだ」と、問題を解決できないでいる誰かを投影している可能性があります。
現在カウンセリングに通われている方で「行きたくないな」と思い、カウンセリングに行くことが重いストレスになっている場合は
別のカウンセリングルームに変える、複数人カウンセラーがいる場合は担当を変えてもらうことも、
良い方向に向かう可能性があるのなら良いと思います。
率直に思っていることを担当のカウンセラーに伝えるのも良いでしょう。
カウンセリングルームや病院を何軒回っても治らない
様々な心理療法を試したが治らない、問題が解決しないという場合は
自分の中に「なんとかしたいとは思うけど、苦労したくない」「楽したい」
「そもそも、本気で解決したいと思っていない」
こんな本心が無いか自問自答してみてください。
そこが解決の糸口になるかもしれません。
2023年12月17日 10:50